今回の旅行は、旅費の安さのみでツアーを選んだ。
航空便は大韓航空で、よくありがちなパターンだが、行きにソウルに一泊しなければならないように設定してある。ショッピングとか食べ物には興味がない我々にとっては、ソウル経由の旅程はあまり歓迎できるものではない。が、そこは前向きに考えて、自ら計画して行くことはないであろうソウル旅行が、セットで付いてくるので儲けものだと思っていた。
この旅費の1万円少々の節約と楽観的な考えが、ぞっとするような体験の幕開けになろうとは、夢にも思わなかった。
ホテルに到着後、軽く昼食を摂り、「さて何をして時間を潰そうか」とガイドブックを開くと、近くの南山公園にソウルタワーがある。散歩がてら出かけてみた。ケーブルカーで山頂に登り、しばらくぶらぶらした後、傍らの日本でいう喫茶店のような店に入った。
店内に客はいなく、店の子(オーナーか?)が何やら手作業をしていた。突然入ってきた我々に彼女は怪訝な顔をしたが、注文したビールを運んでくると、何事もなかったかのように自分の仕事に戻って行った。
こうして、ビールを3杯ほどお代わりをしながら、明日からのフィジーについて話し込んでいるうちに、窓の外は薄暗くなってきた。
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